中間報告会
ドミニカに来て早一年、先日、JICA、配属先、そして隊員(自分)の三者による中間報告会が行われた。前回までの中間報告会はホテルで大勢を呼んで発表の場としての意味合いが強かったが、今回からはもう少し忌憚のない協議の場としたいとの意図からJICA事務所にて関係者だけで設けられた。そのせいもあってか、終始リラックスしたムードで深い議論がなされたように思う。
前にも書いたが自分の活動内容は大きく分けると3つある。
- 現在あるスタンドアロンの保健関連の情報システムを、国内の病院・診療所からアクセス可能なWebシステムとして再構築する
- 先代JICAボランティア(自分で4代目)がこれまで構築してきたシステムのメンテナンス
- 3. その他、職業柄依頼されること(例えば、ウィルス駆除、PC修理やデータ入力支援ツールの作成等)
ユーザー管理、メンテナンス、ログ出力、バックアップ、セキュリティといった現行システムに備わっていない機能の追加や、サーバー環境の設計(使用言語、アプリケーションサーバーやサードパーティーのモジュールの選定)及びその構築など、当然といえば当然だが、1人だけが使う事を想定して作られている現在のスタンドアロンのアプリケーションから単なる環境移行というわけにはいかない。今有る機能、無い機能にかかわらず全て一から作る必要がある。正直、一人で全部を行うには作業が多すぎる。また、自分自身の生産性の低下、すなわち、勤務時間が日本に比べて短く、加えて調べものをするにも、ドキュメント読むにも、メール等で報告書を書くにも、英語のため何かと時間がかかるということも考慮に入れる必要があった。
もっとも、この点については、この中間報告会に先立って配属先と事前会議をして、現状の進捗状況、問題点及びその解決策について議論し、リスケジュールも決定してあったので本報告会では、その内容の確認程度に留まった。
それより中間報告会での一番の収穫は、自分の活動の意義をもっと大きな視野で俯瞰できたことであろう。「貧困対策」、これはJICAおよび我々ボランティアの一番の柱であるはずなのに、とかく今の配属先でこうした活動を行っている限り、そのようなものを感じさせる場に出会わすことは皆無に等しく、その言葉を忘れかけていた。
確かにドミニカにもカリブ地域(先住民族であるカリブ族が住む独立自治のテリトリー)など、経済的弱者が多く住む地域が存在する。首都の病院にはバス代がなくて行けないなんて話も聞く(片道300円前後)。配属先が目指す全国どこからでもアクセス可能な医療関連情報システムが構築されることにより、今まで中央にしか集まらなかった各種有益な情報に地方の小さな診療所からでもアクセスし閲覧することが可能となる。それにより、疫病流行時の早期対策や医療水準の全体的な向上などが期待できる。
得てして、経済的弱者は持てる情報も少ないことが多い。また情報の質といった面でも正確さを欠く間違った情報を与えられていたりすることも多い。全国どこからでもアクセス可能な医療関連情報システムの構築は、こうした情報格差をなくすことに寄与する。そのシステムの一部を自分が築くと思うと俄然ヤル気が湧いてくる。