2014-12-19

Steinberger 再塗装&電装換装

途上国にギターを持って行くとなると、盗難や故障の心配から、バスや飛行機での移動の際には、なるべくならギターを預けたりせず手元に置いておきたい。

巷にはトラベルギターなるものが数多く売られているが、ショートスケールやそれよりも更に短い特殊なスケールのものがほとんどである。ギブソンやフェンダー・スケールのものでボディーが小型のものはないかと探していると、省スペースギターの代名詞的存在Steinbergerがあるではないか。


Steinbergerといえば、昔は高嶺の花だった。今も当時のオリジナルのものはそれなりの高値で取引されている。それが今まで、トラベル用ギターとしてのこの存在を気付かせない理由だった。

しかし、Gibsonに買収された現行の最安モデルはというとSteinberger Spiritという名で、韓国製ではあるが4万円ほどで買える。あのSteinbergerがこんな値段で買える時代がこようとは。

もっとも、アラン・ホールズワース大好きSteinbergerファンで、どうしてもあの音が欲しいというわけではない。どちらかというと嫌いな音である。しかもこの無機質でネックまで分厚く塗装されている姿も気に入らない。このギターを購入した理由は省スペースであること以外にない。


幸いなことに、Steinberger Spiritはオリジナルの時代先端的なグラファイトやカーボンの合成素材といったものではなく、コスト削減からか普通のギターと同じように木製である。

だったらいっその事、このギターを再塗装して、ついでに電装もまるごと換装してしまえば自分好みのトラベル(エレキ)ギターが作れるのではないか。


せっかく安く買ったギターなので、ここで業者に頼んではコストが高くなりすぎてしまう。基本的には全て自分一人で行おうとの意気込み。ギターの改造は高校生の時以来である。


制作期間約3ヶ月を費やしてしまったが、ようやく完成した。結果的には、一体型のネックとボディーの木部、トレモロユニット、ピックアップのエスカッション、バックカバー、膝当て、ストラップピン、ジャック以外は、全て新しいパーツに置き換えられた。

作業詳細

塗装剥がし

用意したのはこんな物。何だか木工作業に思えないものばかりだが(笑)
  • アイロン
  • ドライヤー
  • フライ返し(ゴム製ヘラは使わなかった)
  • マスキングテープ
  • 紙ヤスリ
  • 軍手&マスク

第一段階は白い塗装表面の剥がし。作業の基本は、アイロンを塗装部において、2分ほど温めて、木部から塗装が浮き上がってきたなと思ったら、フライ返し(鉄製)でその箇所を剥いでいく感じ。無理してやろうとすると木部を傷つけるので注意。焦らず、ヘラでこれ以上剥がれないと思ったら再度アイロンを当ててやる。ドライヤーも同じ目的でアイロンが使えないような場所に使うらしいが、今回は出番がなかった。このギターは塗装が剥がれづらいようで、ボディーサイズが小さい割には結構な時間を費やすこととなった。

ある程度白い塗装表面が剥がれても、目止め材のようなものが部分的に残っているはず。そしたらここで第二段階、ここからは番手の荒い紙ヤスリを使ってそれらを削ってゆく。自分は#60, #120, #240と番手を上げながら行った。

ヤスリついでに、せっかくスルーネックなので、スルーネックらしいセクシーな形にしてあげる。これでハイポジションがもっと弾きやすくなるはず。

ちょっとわかりづらいがBefore
After
一通り白い塗装や目止め材が見えなくなったところで塗装を剥ぐ作業としては終了。この位荒い番手でのヤスリ掛けは、塗装剥ぐためだけの最小限にした方が良い。

塗装

塗装の前に塗装表面を整える。今回はオイルフィニッシュのため、この作業が最終的な仕上がりに直接影響する。ちなみにこのギターはスルーネックとボディのウィングともにメイプルで出来ているので、ラッカー等で塗装する際も目止めは行わなくても良さそうだ。ヤスリがけは、#400, #600, #800, #1000くらいで終了。

(なお、次回のために)
ネックに関しては、ここまで細かい番手にあえてせずに、仕上げも含めて#800番辺りで終えるとツルツルした感じではなく、サテンのようなサラサラした感じになりそう(未検証)

ここでようやくオイルが登場。今回は表面が硬化して普通の塗装のようになるというXotic Oil Gelを使用。


取説によると、「リント布ではなくきめ細やかな白い布を使用」しろとのこと。意味不明だったので、とりあえずTシャツ1枚を適当な大きさに割いて使うこととした。オイル塗布にはこの切れ端を使い捨てで用いた。また、ネックとボディの 角などには歯ブラシを使った。


一通り薄く塗ったあと、こんな感じで最低でも4時間以上は乾燥させる。これを5, 6回繰り返すと表面が塗装したかのような膜(硬化)ができる。その段階で耐水ペーパーを使って石鹸水研磨。#800, #1200, #1500。ここで失敗。研磨し過ぎて表面の膜が一部剥がれて木が出てきてしまった。やはりXotic Oilとはいえ、オイルフィニッシュである。研磨し過ぎに注意。

再度オイルを塗布をもう4,5回繰り返す(結果的に10回ほど塗っている)。その後同様に、かつ今度は慎重に耐水ペーパーを使って石鹸水研磨。

今度は無事研磨できたので、コンパウンドで最終仕上げ。今回は、ソフト99 99工房 液体コンパウンドトライアルセット[HTRC3] を使用。#3000, #7500, #9800と番手を上げていき光沢が出たところで終了。


電装組み込み



塗装作業と並行して部品集め。ピックアップはアメリカから直輸入。見積依頼してみると、ハム2個、シングル1個+空輸代と、日本で買う正規のハムバッカー1個の価格が同じくらいなので驚き。日本の正規輸入品はどうしてあんなに高いのだろうか。

その他パーツも楽器屋ではなく、秋葉原で調達。コンデンサとかは、一つ30円とか60円程度。これらも楽器用となって楽器店で売られると、10倍以上の価格に跳ね上がるから不思議。


とりあえず配線図を書いてみる。今回はタップスイッチは使わず、フロント+ミドルとリア+ミドルのハーフ時のみハムをタップするだけのシンプルな配線。もっとも、スムーステーパーは組み込む。値はShur純正と同じ。

ボディーが小さいのでポット類は小型のものを使用。予想通りではあるが、ボディーが小さい分コントロールのザグリも小さく、配線の取り回しに苦労したり、ハンダもやりづらかったりで結構苦戦。そもそもハンダ付けなんてするの久しぶりだし。


 ヘッドはダブルボールの弦じゃなくても使えるようにJ Custom 製に変更。こちらも韓国から輸入。

Before
After
その他、パーツも組み込んで、こうして究極のトラベルエレキギター(?)が完成。

Before




換装パーツ一覧

ヘッドピース
J Custom COMBINED HEADPIECE AND STRING ADAPTER FOR STEINBERGER

ピックアップ
ネック John Suhr SSV Neck Black
ミドル John Suhr ML Standard Middle Black
リア John Suhr SSH+ Bridge Black 50mm

ポッド
ボリューム CTS Custom 500K Aカーブ
ミドル CTS Custom 250K Aカーブ

コンデンサ&抵抗
スムーステーパー ムラタ 1kV RoHS (DENR33A681K 680pF)
抵抗 150k (メーカー型番不明)
トーン 東信工業 DC用メタライズド・ポリエステル・フィルム 0.0047μF (2EMMSSDC 473KE)

配線材
Belden #8503 Black and White

 
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