JICAワールドレポーター更新。
突撃ストリートライブ
自称スムースジャズバンドのストリートライブにギター1本で飛び入り参加してきた。当日、ギターの他に小型アンプとアンプシュミレーターの付いたマルチエフェクター(いずれも先輩隊員の置き土産)、ついでに変圧器までと準備万端、重い思いをして持っていったのだが、道中でケーブルが断線したようで使えず。結局、ギターからPA卓に直接繋ぐことに。エレキギターを弾いている人はわかると思うが、アコースティックギターやキーボードと違って、エレキギターはアンプ(もしくはシュミレーター)があってこそ一つの楽器といえる。PAスピーカーから聞こえる完全なドライで、まるでラジカセに繋いだかのようなバンドから一人浮いたペンペケな自分のギターサウンドに早くもヤル気半減、出鼻を挫かれた。
ストリートライブの場所は首都ロゾー(タウンと呼ばれる)のほぼ中央にあるチャイナタウン(中華街じゃなくてそういう名の店)の軒下。金曜なこともあり、平日はあまり夜遊びしないドミニカ人もこの日ばかりはタウンに繰り出すため、結構な人だかりに。なので気を取り直して、とはいえ事前に何をやるかなんて知らされてないから全くの行き当たりばったりなのだが、とりあえず何とかバンドについていこうと奮闘。
ジャズバンドとはいうものの、このバンドにはスコアはおろかコード譜すら存在しない。そもそもドミニカ人で楽譜読める人はほんの一握り。このバンドの彼らも楽譜は苦手のようだ。毎週2回集まって練習しているらしいが、どうやってメンバー間でコード進行やらアレンジを共有してるのか不思議に思う。ドミニカ人の特徴でもあるが、あんまり音楽理論だったり楽譜読んだりといったことは、コツコツ勉強したり訓練したりしなきゃならないことだから苦手らしく、それに代わってリズムを中心にもっと感覚的に音楽を捉えている印象。なので多少ベースとキーボードが違うコード弾いててもそんなのお構いなし。パワーでゴリ押しといった感じ。
正直に言うと、このバンドは選曲とかはジャズ風ではあるけど、ジャズバンドじゃない。ソロオーダーも適当過ぎで、一曲のうちにソロが数回まわってきたりするし、4バースや8バースとかもごちゃ混ぜ。互いに好き勝手に個性を主張しながら演奏していて、周りの音を良く聞いてないからジャズの醍醐味でもあるインタープレイなんてものは皆無。
そして何より辛いのがドミニカのバンド全般にいえることだが、いつ終わるか分からないエンドレスのように感じる曲の長さ。E7一発物みたいなジャムでも大したソロをまわす人数が居ないのに30分以上やってたりする。適当な気分で誰かがソロとって、あれ、さっきやったのにまた同じ人がソロとってみたいな感じで、聞いてる方もそうだろうが演奏しているこちらも疲れてきてしまう。
そしてさらに酷いのがエンディング。ソロオーダーが適当だから曲がいつ終わるのかも予測不能、その上、誰もエンディングをどうしようなんて考えてないから、どの曲やってもゴチャゴチャと終わる。何か疲れたんで終わり、みたいな。
たぶん大事な基本的な事を知らないのだろう。Youtubeとかで動画を見て、見よう見まねでこんな風だったかなみたいな感じでやってるように思う。
ちょっと学べば良いだけの事なのに、そして今やその情報を得る事は我々日本人より容易に出来るはずなのに、その辺を物臭がるドミニカ人の嫌な気質を久々にみてしまった。こんなもんだろみたいな。満足点が低いというか。
話は飛ぶが、ここドミニカは本当の意味でのプロフェッショナルが少ない。道路工事やっても、水道工事やっても、大工仕事やってもみんな中途半端。一見して素人仕事にしか思えないということが多々ある。こんな出来だったらわざわざ依頼するまでもなく自分でするのだけどな…という気にさせるられる。
もっとも嫌なことだけが見えたわけではない。逆にドミニカならではの凄いと思えることも多々あった。聴衆と奏者の垣根が低いこともその一つだろう。
小さな子供を抱えたおばちゃんが近づいてきたかと思うと誰かにその子を預け、いきなりマイクを取ってスキャットでアドリブをとりだしたり(それも見事なリズム感と声量で)、今風の格好をしたお兄ちゃんがラップとダンスを披露したり、帰宅途中と思える格好をしたお父さんがバンドをカラオケ代わりにしてレゲエソングを歌ったり。しかもみんなそこそこ様になっている。こうした好きな事、楽しい事に対する彼らの直感的な反応とそのセンスには目を見張るものがある。
嫌な面も良い面も、一言で言ってしまえばすべて直感的、感覚的。例えそれが将来の自分のためだと分かっていても、嫌いだからやらない。面倒だからやらない。逆に今こうしていることは、楽しいからやる。好きだからやる。ドミニカ人をよく知るためのキーワードでもありそうだ。
一姫二太郎
2 年前
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